魔法の使い方





 薄暗い部屋。中央だけ明るく照らされており、そこには仮面を被った怪しげな商人が大げさな物言いで商売をしている。

 中心部から同心円状に椅子が置いてあり、身なりは良いがこれまた仮面を被った男達が品定めをするように中央へ視線を向けている。

「さあさあ、高貴な紳士様がた、今宵もお集まり頂き至極光栄にございます! 本日も麗しき乙女達を揃えて参りました。スタートは二十からです!」

 中央の壇上へ無理矢理連れてこられたのは10歳前後の少女であった。彼女は何が起きているのか理解したようで、その目には涙を滲ませている。

 そんな少女を心配することなく、仮面の男達は口々に数字を叫ぶ。暫くして最高額が決まったようで、場は一旦静かになる。しかしまだ夜は始まったばかりであった。商人が二人目を壇上へ連れてこさせると、再び盛り上がりを取り戻した。



< 30 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop