へたれライオン 卒業します
「か~な~た~

マカロン作ったの
失敗じゃねぇ?」



「俺が押したときに
春名に行っちゃえば良かったじゃん

教室に
俺たちと春名しかいなかったから
今しかないと思ったのによぉ」



「だって
心の準備なしで『いけ!』って言われても
俺、ムリだし・・・」



「まぁしょうがない!

へたれライオンの尊くんには
ちょっと荷が重すぎだったな」



学校から帰ってきて
奏多の家に遊びに行くと
奏多から新たな指令が!



「今度の作戦は超簡単だから

 尊でも絶対に大丈夫!」



俺にドSの奏多が
今度はどんな無理難題を
押し付けてくるかと思いきや



「尊、このメガネかけて」


と、さらっと言った



「それだけ?」



安心したのも束の間
奏多からとんでもない指令が・・・



「で、これから
 春名のいる公民館に行くべし

 子供と遊ぶだけだから
 尊にもできるっしょ」



え?



えええええ?????




それって
春名に会いに行くようなもんじゃん!



「奏多!!

 この一年、春名に会いたくて
 公民館に行こうとしたけど

 勇気がなくて行けなかった俺を
 何度も見てきたじゃん!!

 春名に会いに行くなんて
 無理だよ・・・」



奏多に反論しながら
俺はつくづく情けない男だなと
実感していると



「お前のギャップが一番出るのって
 子供たちと遊んでるときって
 気付いちゃったんだよね」



「で、このメガネは?」



「へたれライオン君でも
 凛と見えるアイテム!」



「本当に行かなきゃダメ?」



「生徒会長に
 春名を取られたくなかったら
 行ってこい!!」



「・・・・・」



生徒会長というキーワードを聞くと
焦ってしまう俺は

春名に会える嬉しさと

春名に拒絶されないかという不安とともに
公民館に向かった


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