へたれライオン 卒業します
「歩の兄ちゃん
 この問題わかるか?」



「ちょっと見せてみな」



高杉くんは問題にさらっと目を通すと
子供に教え始めた



わかりやすく勉強を教える高杉くんに
見とれていると
高杉くんと目があってしまった!!!



な、なにか言わなきゃ!!!



「た、高杉くんって・・・

 教えるの上手いんだね・・・」



私がボソッと言うと
高杉くんの表情が固まり
無表情になってしまった



『あ!

 高杉くんは私と関わりたくないだろうに
 図々しいことを言っちゃった』



あきれてるのかな?と
心配していると・・・



「今のすっげー嬉しい!!

 また、ここに来てもいい?」と

子供みたいな無邪気な笑顔で
高杉くんが言った



『高杉くんが・・・

 笑った・・・』



高杉くんの笑顔を見て
私の心はドキドキが止まらない



今の高杉くんの笑顔
すっごく可愛い!!



「歩の兄ちゃん
 掃除をさっさと終わらせてくるから
 みんなでサッカーしようぜ!」



「歩くんのお兄ちゃんは
 私たちと隠れんぼするの!
 ね~!!」



小学生の男子VS女子で
高杉くんを取り合いになってる



モテるのは女子高生だけじゃないんだなと
笑ってしまったが

みんなから愛される高杉くんと
親にも愛されない私は
全く別世界の人間だなと

距離の遠さに痛いほど気づかされる
瞬間でもあった



こんなこと
前にもあったなぁ・・・



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