へたれライオン 卒業します



(尊side)


は~

罪悪感、半端ない



せっかく来てくれた春名を
置き去りにして帰ってしまった俺


俺ん家の隣にある
奏多の家のインターフォンを
ピンポンピンポン連打。



「みこと~、何回も押すなよ
 1回で聞こえるから」



俺が来るって、わかってたんだろうな


さすが
幼稚園からの幼なじみ!


感心しながら
奏多の部屋に入り


理科室での情けない出来事を
奏多に暴露




「ようするに尊は。
 春名が来てくれたのに、
 教科書探しに来ただけですって、誤魔化したわけだ」


「俺、アホすぎ……」


「で?挙げ句の果てに
 女と仲良く帰っていくのを
 好きな子に見送られてたわけね」



「別に
 咲姫と仲良く帰ってないし」



「春名には
 恋人どおしでイチャイチャ帰りましたって
 見えてたと思うな」



「か~な~た!!
 俺、どうしたらいい?

 もう春名に
 嫌われちゃったよな?」


ショックの波に襲われ。

俺が三角座りで
膝の間に顔をうずめていると。



「オマエ、違くないか?」


奏多の声が、急に刺々しくなった。


「「尊が今、心配するのは
 自分が嫌われたかどうかじゃないだろう?」



「へっ?」



「名前なしのラブレターをもらったら
 いたずらかも?って普通思うじゃん

 それなのに来てくれたんだぜ!春名は!」

「……」


「行ってみたら誰もいない

 勇気出して行った私がバカだったって
 俺ならみじめな気持ちになるけどな」



はっ!!

奏多のいう通りだ!!



なぜ俺は
自分のことでいっぱいいっぱいで

春名の気持ちを
考えられなかったんだろう……



俺は本当にバカだ!!



「奏多、サンキューな!

 俺もう一度
 理科室に行ってくる」



「春名は
 もういないと思うけど」



「それでも、行ってくるから」



奏多の家を飛び出した俺


自転車を飛ばして

学校に着き


理科室のある3階まで

無我夢中で、階段をかけ上がった



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