永遠の呪縛〜キミヲ、ハナサナイ〜

この世界には、街行く人々に隠れて生活している人々がいる。私もその一人。

隠れる理由は人それぞれ。仕事が特殊、貴重な人種、そしてーーー特別な力を持っている。

私ーーー黒羽美鈴（くろばみすず）は、特別な力を持っている。普通の人は持たない力。この力のことが人にバレてしまったら、平穏な生活は奪われてしまうだろう。

私はスーツケースに服や荷物を詰めていた。これから友達と旅行に行くため。

「髪留めも持って行こうかな……。ヴォーラス！」

私が呪文を唱えると、引き出しが勝手に開き、リボンの形をした髪留めが飛び出してスーツケースの中に入った。

私は魔法が使える。……魔女なのだから。



私が魔法が使えると知ったのは、もうすぐ中学生になるという頃だった。

ある日、イギリスから一人の男性がやって来た。そして家族に言った。

「美鈴さんは魔女の素質があります。ぜひ、イギリスの魔法学校に入学していただきたい」

最初は家族全員戸惑い、男性のことを信じられなかった。しかし、男性は私たちの目の前で黒いコウモリに変身し、魔法が存在すると認めざるを得なかった。