香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
異世界人と知り合ったと知られれば、父である国王や神官が大騒ぎすると思ったから。
「お前もネックレスで確信したんだな」
「アレンもやっぱりネックレスですぐに気づいたんだね。クルミが異世界から来たって。でも、異世界のことを口にするのはタブーだし、変に思う人間もいるから妹に口止めした。それでクルミの件はアレンに任せようと決めたんだ」
「ヴィクターらしい賢明な判断だな」
「あのネックレス、なくしたんじゃなくて、クルミにあげたんだよね?」
俺の行動を読んでいる彼の質問に「ああ」と頷く。
「彼女がネロを助けてくれたから、そのお礼にあのネックレスをあげたんだ」
そのネックレスは王太子の地位を示す特別なものだったが躊躇しなかった。
ネロは俺の大事な相棒だったから。
ネックレスを女の子にあげるということは、その子を自分の伴侶にすることも意味していて、俺はあの時またクルミに会いたいと思っていたのかもしれない。
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