香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
父上や神官は俺がネックレスを異世界でなくしたと聞いてショックを受けていたが。
「その子がこっちの世界に来ちゃうなんて運命的な再会だよね。僕はもしクルミが望むなら、彼女を元の世界に戻してあげたい。でも、僕では異世界に連れていってあげられない。だから……」
彼はじっと俺の目を見た。
「俺に頼むと?」
「アレンならクルミを異世界に戻してあげられる。でも、クルミがこの世界にいたいと願ったら、アレンが一生彼女を守ってよ」
ヴィクターがニコッと笑って頼むと、俺はゆっくりと返事をした。
「わかった」
その後、サイモンを交えて三人でパルクレールの娘が隣国の娼館に売り飛ばされる話をしていたら、執務室のドアが勢いよく開いてエマ王女が飛び込んできた。
「大変です!クルミ様が消えました〜!」
「クルミが消えた……ね」
俺はヴィクターと"ほら、現れた"と目を合わせれば、エマ王女はそんな俺達にやり取りに気づかず息を乱しながら状況を説明する。
< 156 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop