香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
冷ややかな目でエマ王女を見据えて脅せば、彼女は動揺するあまり声を荒らげた。
「そんなこと出来る訳がないわ!私はあなたのためを思ってやったのよ。私の方が彼女なんかより王妃に相応しいもの。それに私はオスロンの王女よ」
「俺がクルミに王太子のネックレスをあげた時点で、クルミも王族となる。他国の王女と言えども、彼女に害をなせば、パルクレールの法で裁かれる」
俺の説明に彼女の瞳は大きく震えた。
「そ、そんな……」
「パルクレールの牢獄は孤島にあって、脱走も不可能。女の子が入るには常冬で辛いと思うよ」
ヴィクターがエマ王女にニコニコ顔で説明するが、目は笑ってはいなかった。
彼の横にいるサイモンも怖い顔でエマ王女を尋問する。
「素直に吐けよ!公爵令嬢をどこに連れて行った?」
男三人に囲まれ、隠し通すのは無理だと思ったのか、彼女はか細い声で呟くように言った。
< 158 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop