香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「……ハーネスの売春宿よ。ねえ、私……牢屋に入れられないわよね?」
不安そうな顔でエマ王女が俺を見た時、またドアが開いて姉が入って来た。
「牢屋ではないけど、あなたにはパルクレールの北にある修道院へ行ってもらうわ。私の許しがあるまで、そこで神につかえるのね。大丈夫よ。あなたのお兄様だって、私の決定には賛成するから」
にっこりと完璧な笑みを浮かべる姉。
義妹にも容赦ないな、この人は。
「セシル様……そんなのあんまりです」
エマ王女は姉に訴えるが、姉はそんな彼女の発言を一蹴した。
「では、あなたがクルミにしたことは酷くないと言えるかしら?」
「それは……」
言葉に詰まるエマ王女を指差し、姉はサイモン命じた。
「サイモン、今日は城の牢にでも彼女を入れておいて」
「はい」
サイモンも姉の前では礼儀正しい騎士になる。
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