香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「大事なのはクルミの気持ちだ。もう一度確認するが、元の世界に戻りたいか?」
揺れる彼女の瞳。
だが、クルミは何か決意したように、しっかりと俺を見つめて答えた。
「私……戻ります。力を貸してください、アレン」
「わかった。協力しよう、愛しい婚約殿。その代わり、みんなにバレないようスキンシップを増やす」
ニヤリとすると、彼女が抗議する前にその唇に口付けた。
まるで俺のためにいるかのように、柔らかで、甘くて……我を忘れそうになる。
キスを終わらせると、クルミが呼吸困難になったかのようにハーッと大きく息を吸い、俺に文句を言った。
「みんなにアピールするだけなら、今のは必要ないじゃないですか!」
「練習だ」
クスッと笑ってそう言い張るが、彼女はごねた。
「口をくっつける必要あります?」
「くっつけなければキスにならないだろう?」
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