香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
ドレス破いちゃった〜!
あ〜、なにもったいないことしてるの。
多分、このドレス一着分の値段で、平民は半年は暮らせるはず。
「これ、縫い合わせることができるかなあ?でも私……裁縫得意じゃない」
ひとりブツブツ言ってたら、セシル様がフフッと笑った。
「クルミはそそっかしいわね。そこが可愛くあるけど。そんなにこのドレスお気に入りなら、仕立てやに直してもらいましょう。何か飾りをつければ大丈夫よ」
「直せるんですかあ。よかった」
胸に手を当て、ホッと安堵する。
落ち込んでも、毎日何かが起こって慌ただしく時間が過ぎ去っていく。
「ほら、着替えるわよ」
着ていたドレスを脱がされ、ウェディングドレスに着替えた。
鏡に映る自分の顔。
本来の私の姿ではない。
でも、今はすっかり見慣れてしまって、これが自分なんだと受け入れている。というか、もう何も違和感を覚えなくなった。
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