香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか？

私の部屋だってそれはそれは広くて華やかなのだけれども、この部屋はさらに上を行く。
近くに置いてあるソファや椅子は装飾が見事だし、カーテンも細かい刺繍が施されている。
細密画のようなものも飾られていて、この国の建築技術を結集したかのよう。
私が着ているこの服だって、シルクのような光沢のある白い布に、金の刺繍がされていてとても綺麗だ……って、いつ服を着替えたの？
全く記憶がないんですけど……。
まさか、彼が私の着替えを？
「ぎゃあ!?」
叫ぼうとしたら、再びアレンに口を塞がれた。
「だから、大声出さない。いいか？」
頭の悪い子に言い聞かせるように彼が言う。
心臓がバクバクしてショックから立ち直れていなかったが、アレンの目を見てコクコク頷いた。
「あの……どうして私……ここに？」