香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか？

ポンポンと私の頭を叩く彼。
今のところって……。
今後はどうなるかわからないってこと？
いや、でもなんか怖い感じはしない。
王太子だけどおごったところがなくて、気さくな感じがする。
でも、それでいてやはり常人とは違うオーラが彼にはある。
ジーッと観察するようにアレンを見ていたら、彼と目が合ってドキッとした。
「少しは警戒心を持ったらどうだ？俺の気が変わって君を襲わないとは限らないぞ」
「え？そうなんですか？」
ポカンとして聞き返したら、アレンが呆気に取られた顔をし、ぼそっと呟いた。
「ヴィクターが君の心配をするのもわかる気がする。これだと目が離せないな」
軽く溜め息をつく彼を見て、ここぞとばかりに提案する。
「私は頭を打った後遺症がありますし、殿下の方から婚約を解消しては頂けませんか？私よりも殿下に相応しい女性はたくさんいると思います」
「俺に相応しい女性ねえ。例えば？」
聞き返されるとは思わなくて狼狽えた。