香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「だ、だ、だって、今……私に……キスをしましたよね?」
「ああ。気に入ったなら、もう一度しようか?」
アレンが妖艶に微笑んで見せた時、コンコンとノックの音がした。
た、助かった。
またキスされていたかも。
彼は魔法でも使えるのだろうか?
アレンに見つめられると、何も考えられなくなる。
「入れ」とアレンが返事をすると、十六歳くらいの男の子が入って来た。
ライトブラウンの短髪にくりっとした目で、身長は百七十センチくらい。
アレンの侍従なのか、手には洗面用具を持っている。
「殿下、おはようございます。今朝ラフォリア公爵家の使いの者が来て、ヴィクター様の妹君が家出をされたと報告がありましたが……って、え?誰ですか、その女性は?」
私達のいるベッドに近づき、その男の子は驚きの声をあげた。
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