香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「ロイド。ヴィクターに妹は俺が預かっているから安心しろと伝えてくれ。あと、風呂の用意と、彼女の着替えも頼む」
「かしこまりました」
ロイドと呼ばれるアレンの侍従はキッと私を睨みつけ、部屋をあとにする。
……こ、怖い。
きっと、王太子に色仕掛けで迫るだらしない女と思われただろうな。
「……きっと、私達のこと誤解されてます。何も言わなくていいんですか?」
アレンの腕を掴んでそう問いかけるが、彼は楽しげに私を弄る。
「誤解って?俺とクルミがこのベッドで愛し合ったとか?」
「愛し合ってません!」
ムッとして言い返すと、彼は私の頬に手を当てた。
「だが、同じベッドで寝たし、キスもした。婚姻前で咎める連中もいるかもしれないが、いずれ俺の伴侶となるのだから何も言う必要はない。それよりも、邪魔者がいなくなったし、さっきの続きでもしようか?」
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