香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
それはまだ父にも言っていない俺の見解。
国の今後についての話を女性にするのは初めてだった。
「それを聞いて安心しました。戦争になれば、みんな無事というわけにはいきませんから。アレンは将来、いい王様になりますね」
フフッと微笑む彼女の笑顔がとても眩しく見える。
「そうなりたいと思う。いや、ならなければならない」
クルミの目を見て自分の意思を伝えれば、彼女は苦笑いした。
「アレンはひとりで全部背負い過ぎです。そんなんだから身体がカチカチになって頭痛に襲われるんですよ。もっと周りの人を頼ってください。私の兄だっているんですから」
クルミの説教に目をパチクリさせる。
俺に意見する女なんて初めてだ。
だが、彼女の言葉は俺の胸に響いた。
「そうだったな。お前の兄は優秀だし、将来優れた宰相になるだろう」
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