香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
『クルミ、城の生活に慣れるのも大事なことだし、このまま城に留まるといいよ』
呆気に取られる私の肩にアレンがポンと手を置いて、お兄様に約束した。
『しっかり俺が面倒を見るから心配するな』
面倒なんて見なくていいです〜!
そう心の中で叫んだ私。
恐らく、お兄様とアレンとの間で何らかの話し合いがなされたのだろう。
城の方が警備が厳重で私が城出なんて考えないと思っての対応なのだろうか?
お兄様は私が屋敷を抜け出したことを咎めなかった。
だから、余計にこの滞在にはなにかあるのかと勘繰ってしまう。
だって、普通は結婚してから一緒に住むでしょう?
ムクッと起き上がって、ベッドを出ると、窓辺に近づいた。
ここは四階だから下まで二、三十メートルくらいの高さがある。
隣はアレンの部屋だし、この部屋を出れば衛兵が定期的に見回っていて城を抜け出すのは難しい。
おまけに右足を怪我している。
アレンが薬草風呂を用意してくれてだいぶ癒えたけど、完治にはまだ二、三日はかかりそうだ。
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