香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか？

「うーん、いい香り。癒やされる〜」
クンと匂いをかいだその時、コンコンとノックの音がした。
侍女がなにか用があって来たのだろうか？
「はい」と返事をすれば、ドアがガチャッ開いて意外な人物が現れた。
「セシル様！」
どうしてアレンのお姉様が私の部屋に？
驚きの声を上げる私を見て、彼女は美しい笑みを浮かべる。
「こんにちは。ちょっとお邪魔してもいいかしら？」
私に"駄目です"という勇気はない。
だってこんな絶世の美女に見つめられると胸がドキッとする。
この姉弟は最強だわ。
「はい。むさ苦しいところですがどうぞって……あっ!?」
つい向こうの世界での癖で謙遜した言い方をしてしまったけど、この部屋はアレンが私のために用意したもので……。
きゃあ〜、どうしよう〜！
私ってかなり失礼な人だよ。
あたふたしていたら、セシル様がクスッと声を出して笑った。