香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「面白い子ね。ねえ、このいい香りはなにかしら?」
どうやら彼女は私のことを悪くは思っていないらしい。
ホッとしながらベルガモットの瓶を手に取り彼女に説明する。
「ベルガモットといって、柑橘系の匂いがする香油を布に数滴垂らしたんです」
「そんな香油があるのね。他にも瓶があるみたいだけど、全部同じもの?」
セシル様は興味深そうに相槌を打ちながら、テーブルの上に並べた瓶に目を向けた。
「いえ、全部香りが違います。よろしければ、匂いをかいでみますか?」
ニコッと微笑んで提案すれば、彼女は笑顔で頷いた。
「ええ」
「これはローズマリー」と言って瓶の蓋を開けてセシル様の鼻に近づけると、彼女は真剣な顔で感想を口にする。
「なんだかスースーする香りがするわね」
「頭痛に効くんですよ。次は、ラベンダー」
また違う瓶を開ければ、彼女が自分で瓶を持ち、鼻をクンとさせた。
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