香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「これは、草原の匂いがするわ」
さすが王妃様。
素敵な表現だわ。
「その香油は万能薬的な香油で、この匂いをかぐととてもリラックス出来るんです。では、この香りはいかがでしょう?」
三番目に取った瓶を開ければ、セシル様は匂いをかいで頰を緩めた。
「甘い香りね。私、この香油好きよ」
「イランイランという香油で、心を落ち着かせてくれて、女性の美容にも効果があるんですよ」
「美容に効果があるのね。子供を産んで一気に老けた気がしてならなかったの。この香油でまた若返るかしら」
悩ましげに呟く彼女。
「そんなにお綺麗なのに……老け込んだだなんて。私、今まで見た女性の中でセシル様が一番お綺麗だと思います。だって今、紅しかさしていないですよね。肌も白くてシミもないし、目も色っぽくて、見てるこっちがドキドキします。私もセシル様みたいな容姿だったら、もう毎日鏡をじっと見ちゃいますよ」
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