香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか？

手をギュッと握って力説したら、彼女は私の頭をヨシヨシと撫でた。
「嬉しいこと言ってくれるわね。ありがとう」
目を細めて微笑むセシル様。
「でもね、最近は身体もむくむし、抜け毛も増えた気がするのよねえ」
ハーッと息を吐く彼女にマッサージをしてあげたくなった。
この世界に医者はいてもアロマセラピストはいない。整体師のような人はいるけど、香油を使ってマッサージする人はいないのだ。
セシル様だって王妃様だし、それに母親だし、いろんなストレスがあると思う。
双子の王子達はとても可愛いけど、まだ四歳でやんちゃな感じだ。
侍女が彼女の息子達の世話をするとは思うけど、気苦労が多そう。
「あの……差し出がましかったらすみません。もし、私でよかったらお身体マッサージしましょうか？」
私の申し出に彼女は驚いた。
「あなたが……？」