香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「マッサージに興味がありまして、いろいろと勉強しているんです。私の家族にもなかなか好評なんですよ」
元の世界の家族だけど。
「あっ、それに今朝アレン様にもマッサージして、喜んで頂けました!」
笑顔でそんな宣伝をすれば、セシル様はニヤリとする。
「今朝……アレンにマッサージねえ。私に甥か姪ができる日も近いかしら。アレンはねえ、女を自分の部屋に連れ込んだことはないのよ。お風呂でも楽しそうにしていたし、あなたは特別かしら?」
キラリと目を光らせて私をからかう彼女に向かってブンブンと首を横に振る。
「そんなことはないですよ。私が家出したところを捕まって……成り行きでそうなっただけで……」
私の話にセシル様は呆気に取られた顔をする。
「あなた、家出したの?」
「……アレンとの婚約が嫌で……というか結婚は出来なくて……」
ハハッと乾いた笑いを浮かべる私に、彼女はどこか楽しそうに指摘した。
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