香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
反抗的な態度のロイドの頭をセシル様が持っていた扇子でパシッと叩く。
「未来のこの城の女主よ。もっと敬いなさい」
うわ~、セシル様厳しい。
でも、私はこの城の女主人になるつもりはないんですよ。
「セシル様のためにお湯が必要なの。ロイドしか頼めないんだけど、用意できるかな?」
"セシル様のため"というのを強調してもう一度お願いすると、彼はどこか自慢げに答え、胸を張る。
「フン、そんなのこの俺には朝飯前だ」
「ロイド、言葉に気をつけなさい」
すかさずセシル様が注意すれば、彼は身を固くして怯えた。
「……はい。すみません」
「ロイド、ボーッとしてないで早く持って来なさい」
セシル様はスーッと目を細め、扇子でドアを示す。
扇子って仰ぐだけかと思ったけど、こういう使い道もあるのねえ。
私が感心している間にロイドが退出した。
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