香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「クルミ、ロイドはマゾ体質だから、優しくしては駄目よ。厳しく接するの。それで彼が喜ぶのよ」
セシル様は近くのソファに腰を下ろし、優雅に微笑む。
マゾって……。
それから彼女と雑談をしていると、すぐにロイドが手桶を持って戻ってきた。
時間は十分も経っていなかったと思う。
"どうだ"と言わんばかりの顔で、手桶を差し出すロイド。
受け取って湯加減を確認すれば、ちょうどよかった。
え~と、マゾなのよね。
普通にお礼を言っても喜ばないのなら、「やるじゃない」とセシル様を少し真似て褒めてみる。
すると、ロイドはニンマリした。
おお~、喜んでるよ。
「これからセシル様にマッサージをするからロイドは部屋を出ていって。私が呼ぶまで入って来ては駄目よ」
そう命じれば、ロイドはセシル様が気になるようだったが、彼女にギロッと睨まれ、渋々部屋を出ていった。
< 72 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop