香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか？

手桶のお湯にイランイランの精油を数滴垂らすと、エキゾチックで甘い香りが漂う。
「では、早速足湯からしましょう」
セシル様の靴を脱がし、片足ずつ手桶に入れる。
「お湯加減どうですか？」
顔を上げて確認したら、彼女はとてもくつろいだ様子で微笑んだ。
「ええ。いい感じよ。温まっていいわ」
「女性は足元から温めるのがいいですからね。冷えは禁物です」
アロマセラピストらしくそんな話をすれば、セシル様は急にアレンのことに触れた。
「アレンにも足湯をしたの？」
「いえ、その時はこんなすぐにお湯を用意出来ると思っていなかったのでしませんでした。頭と背中と鎖骨の辺りを中心にマッサージをしたんですけど」
次回は足湯からじっくりやってあげたいな。
「よく弟が身体を触らせたわね。医者とか嫌いなのよ」
セシル様の発言に慌てた。