香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
元の世界の家族の写真を見ようと、スマホを探すが、香油を入れていた袋には入っていなかった。
「あれ?スマホ……どこだっけ?」
昨日森を歩いた時はあった。
でもその後は?
城ではまだ見ていない。
朝、アレンの部屋で起きたから、彼の部屋にあるとか?
スマホをこの世界の人に見られるのはマズイ。
だって、ここには存在しないものだもの。
サーッと顔から血の気が引いていく。
じっとしてはいられない。
部屋を飛び出して隣にあるアレンの部屋に向かう。
今朝はドアの前にネロがいたけど、今はいない。
多分アレンと一緒にいるのだろう。
ということは…。
「アレンはまだ部屋に戻ってきていない」
そう呟いてニンマリする私。
彼は多分まだ政務とかしているんじゃないかな?
それか城を出てどこかに出かけているかも。
ドアに耳を当てるが、部屋から物音はしない。
「ちょっとお邪魔しまーす」
ドアノブを回して中に入ると、やはり部屋の主はいなかった。
スマホを探すなら今だ。
いつ戻って来るかわからない。
「早く見つけないと……」
彼のベッドを中心に探すが、見当たらない。
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