香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「あ~、どこなの?」
アレンに見られるのもマズイし、他人に拾われるのも困る。
ベッドの下を覗き込んでいたら、背後で声がした。
「まだ日が落ちていないが夜這いか?」
面白そうなアレンの声を聞いてギクッとする。
「違います!」
振り返って反論したら、彼に顎を掴まれた。
「だったら、どうして?」
彼のサファイアのような瞳にじっと見つめられ、心臓がトクンと跳ねた。
「へ……部屋を間違えました」
アレンから視線を逸して咄嗟にそんな言い訳をしたが、彼は信じない。
「嘘だな。本当のことを言わないとキスするが」
耳元で言われ、心臓がバクバクした。
「……ちょっと探しものです」
正直にそう答えたら、彼が私の顎から手を離す。
「探しもの?」
私の目を見て問いかける彼。
困る。それ以上は追及しないで下さい。
「お気になさらず〜!」
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