香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
他にもいろんな機能があって、指で文字を打ち込んだり、地図を見ることも出来るようだった。
「まだ日が落ちていないが夜這いか?」
からかうように声をかければ、彼女は俺の方を振り返って否定した。
「違います!」
クルミに近づき、すかさずその顎を掴んで問い質す。
「だったら、どうして?」
俺から目を逸らし、彼女は狼狽えた様子で答える。
「へ……部屋を間違えました」
「嘘だな。本当のことを言わないとキスするが」
ニヤリとしながら彼女の耳元で囁いた。
「……ちょっと探しものです」
今度は嘘をついていないが、俺に何を探しているかは言わない。
「探しもの?」
クルミの顎から手を離してもう一度問う。
正直に話してくれれば、すぐにあの機械を渡すつもりだった。
「お気になさらず〜!」
大声で叫んでこの場を逃げ出す彼女の後ろ姿を見て呆気に取られる。
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