まさか私が………

数時間後、夜中に何故か私は、目が覚めてしまった。まだ部屋の外が明るかったので、気になって部屋を出てみると、翔馬先生が仕事をしていてその途中で、寝てしまったようだった。


風邪を引くと思い私のさっきまで使っていたふとんをかけて部屋に戻ろうそう思ったとき、翔馬先生から腕を力強く掴まれ、苦しそうな表情で寝言を言っていた。

「父さん、母さん、待って!!俺を置いてかないで!!」

私は、きっと小さい頃の夢を見ているだと思った。安心できるように頭を撫でながら、聞こえているかわからないけど静かに言った。

「大丈夫だよ。誰も置いて行かないよ。」

すると、彼の苦しそうな表情が穏やかな表情に変わった。

「本当?」

「うん。少なくとも私は、ずっと側にいるよ。だから大丈夫!」

彼が強く握り締めていた手を離したので安心して部屋に戻った。そして、寝ながら今日あった出来事を振り返った。

あの天使のような二人のお兄ちゃんが魔王のような翔馬先生だったこと。

翔馬先生は、学校では魔王のようだけど家では、優しいお兄ちゃんだったこと。

翔馬先生は寂しい人かもしれないこと。

そして、翔馬先生に腕を掴まれたとき心臓がドキドキしたこと。

今日だけでたくさん発見があってびっくりした。
私は、明日は何をしようか考えながら寝た。



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