まさか私が………




家に帰ると、かすみとすみれは、さゆりの手伝いをすると張り切っていたので、俺は、この間に部屋で、仕事をすることにした。



仕事をしていると、ときどき楽しそうな声が聞こえる。あの人見知りの激しい二人がさゆりと仲良くできていると思うと、とても嬉しい。



~しばらくして~



トントン


「「お兄ちゃんっ!!ごはんですよ~?」」



俺が仕事に集中していると、かすみとすみれが呼びに来てくれた。


「分かった。ご飯を食べにいこう!」


「あっ!すみれ、お兄ちゃんに言わなきゃことがあるんだった!」


「うん?すみれ、どうした?」


「あのね!きのう二人でね、さゆちゃんにね、本当のお姉ちゃんになって!って言ったの。」

「どうして?」


俺が気になって聞くと、二人は少し寂しそうな顔をして、かすみが言った。


「う~ん、さゆちゃんが、お姉ちゃんなったら、ずっと遊んだり、ねる前に絵本を読んでもらったり、いっしょにねたりできるでしょ?」


「さゆりは、なんて言ったんだ?」


今度は、嬉しそうな顔をして、すみれが言った。



「すみれとかすみのお姉ちゃんになりたいんだって!!でも、難しいって言ってたの。だから、お兄ちゃんに言ってみるねって言ったの。」

「そうか~分かった。お兄ちゃんも考えてみるから、ご飯を食べに行こうか。かすみとすみれが作ったご飯が冷めちゃうし、さゆりも待ってるから。」

俺は二人を連れてご飯に行くことにした。



二人が、さゆりをお姉ちゃんになってほしいと言ったのは正直、驚いた。

さゆりをお姉ちゃんにする方法はあるが、これを二人に伝えたら、きっとまたさゆりが困るだろう。そして、俺がさゆりのことを好きなこともバレてしまう。だから、もう少しこれは俺の心の中に秘めておこう。

たぶん、さゆりはさゆりで、かすみとすみれのことが純粋に好きだから、お姉ちゃんになりたいと言ったのだろう。そして、難しいと言ったのは、きっと、俺と同じことを思ったのだろう。

俺もいろいろと考えながら、晩飯に向かった。



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