まさか私が………
それぞれの初めて!

~さゆりside~


あれから、かれこれ1ヵ月が経過した。この間で変わったことといえば……

朝ご飯と夜ご飯を翔馬さん達と食べること、たまに、かすみちゃんとすみれちゃんと私の家でお菓子を作ること、







翔馬さんの顔を見るとドキドキすること。




うん?


あれ?





最後のおかしくない?



最初、翔馬さん、いや、アイツのことは、嫌いだったはずでしょ!嫌いだったというか、現在進行形で嫌いでしょ?なのに何でドキドキしてんの?


待って?私もアイツの毒に侵されてんの?
いや、違う。今まで、やったことが無いことをやってるから、ドキドキしてるんだよ。きっと、そう!!



「さゆり、大丈夫?」


私が脳内会議をやっていると、智子から真剣に心配された。

「大丈夫だよ!智子」

「えっ?そう?さゆり、さっきからすごい悩んでそうな顔してるけど、何かあるなら聞くよ。」



「うん。じゃあ、これは私の友達の話ね。ずっと嫌いというか宿敵だった人がいて、めっちゃ嫌いだったんだけど、その人を知れば知るほど悪くないんだなぁってことに気づいて、最近は、その人の顔を見るだけでドキドキするんだって。」




すると、智子はニヤニヤしながら答えた。



「へぇ~そ~なんだ。たぶん、それ恋だよ。」



私は、思わず大きな声で否定してしまった。


「そんなことない!!」


「うん?これ、あんたの友達の話なんでしょう?なんで、あんたが否定するの?」


「あ、いや、友達ならこういうと思って。」


私は、なんとかごまかした。


「まあ、どうなろうとも私は、あんたを応援するよ。」


そう言われて、智子の顔を見ると、優しく微笑んでいた。

「うん、智子ありがとう!私はこんな友達がいて幸せだなぁ。」



このとき、のんきな私はこの後、想像もつかないことを体験しようとは思いもしなかった。




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