まさか私が………



~昼休み~

さぁ、私と智子がお弁当を食べようとしたとき……


ピコン♪



メールの通知音が鳴った。


メールを見てみると、翔馬さんから「空き教室に放課後に来てほしい。」というメールだった。



私は、小テストで何かやらかしたかと思い、あとの授業は頭に入らなかった。



授業の後、智子から「あんた、大丈夫?目が魚の死んだ目みたいになってたけど。」と言われたので、相当、ヤバい顔をしていたのだと思う。





~放課後~

私は、ホームルームが終わった後、急いで空き教室まで向かった。



空き教室に向かうと、翔馬さんがいた。しかし、ここで私が、翔馬さんのことを名前で呼ぶと変なのでいつも通り呼ぶことにした。



「先生。私に何か用事でもあるんですか?」


私が、こういうと翔馬さんは、少し寂しそうな顔をした。こういうとき、イケメンはどんな顔をしていても、映えるから羨ましい。


「二人きりだから、名前で呼んでくれていいのに。」




「そんなふくれた顔で言われても、いつ、どこで、誰がこの会話を聞いているかも分からないじゃないですか!?しかも、先生を嫌いなやつが急に、名前で呼びだしたら、おかしいと思われますよ。」



「それは、悪かった。でも、二人のときは名前で呼んでくれても良いんだぞ?」





「学校では、絶っっ対に呼びません!それで用事ってなんですか?あの、二人が待っているので、早くしてもらってもいいですか?」




私が怒り気味で急かすと、先生は思い出したような顔をした。





「ああ、そうだな。あの、用事というか頼みがある。明日から、かすみとすみれを2日間、預かってほしい。」


「えっ?すみません。もう一回言ってもらってもいいですか?」



「だから、かすみとすみれを2日間預かってほしい。」




どうやら、聞き間違えではなかったらしい。


「どうしてですか?」


「今まで、2人がいるし心配だから、ずっと出張は断ってきたんだか、今回はどうしても断れなかった。」


私は、ここでふと疑問に思った。



「あの、えーと、かすみちゃんとすみれちゃんは、私に預けるよりも、ご自分のご両親やおじいさん、おばあさんに預けたほうが安心するのではないですか?」



こういうと、翔馬さんの顔が一瞬だけ曇ったのが分かった。



「本当は、そうしてやりたいが、俺の祖父母は亡くなっているし、父や母は仕事が忙しくて、きっと、あの子達に寂しい思いをさせてしまう。だから、俺は、信頼しているさゆり頼みたい。何よりあの子達が、唯一、気を許しているのがさゆりなんだ。頼む。」



私は、この話を聞いて思わず、涙ぐんでしまった。




普段、魔王のようにしているこの人がここまで頼み込んでいるのだから、悪い気はしない。第一、イケメンからこんなふうに言われて断ることができる人間が存在するのだろうか?




いや、いないと思う。いるというのなら、この空気感を体感してほしい。



何より、私に断る理由がないので引き受けることにした。




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