ライラック


4回目の授業の終わりを知らせる予鈴が鳴る。
それとほぼ同時に購買に向かってダッシュする組、弁当持参組とに別れる。

僕は弁当持参組だ。
一度購買に立ち寄ったことはあるが、人が多すぎて買う気が失せてからというもの、絶対に弁当を持ってくるようにしている。

「楓、ご飯食べよー!」
と1人の女子が僕らの教室に入ってくる。

「今日も来たのかよ。柊真、お前もこいよ、3人で上で食おうぜ。」

「待って、今行く。」

僕は楓に声をかけられ、慌てて準備し、二人の元へ行く。

「てか、かりん、またお前いちごオレ買ってんのかよ。俺たちにもなんか買ってきてくれよ。」

「やだね!楓、ちゃんとお金返してくれないもん!」

「いちごオレばっか飲んでても身長伸びないぞ。」

ははっと笑いながらかりんのあたまをぽんぽんと叩く、楓。

ふと、僕達の足元を見る。
いつもの事だが違和感を覚えてしまう。
かりんの上履きは僕らの上履きの色と違う。つまり学年が違うということ。
年下の高校二年生の山本かりん。
僕と楓の、幼なじみだ。

かりんはほぼ毎日、昼休みになると僕らの教室に来てご飯を食べよう、と誘ってくる。

僕らが二年の時は少し恥ずかしかったが、一年もすればもう慣れた。

最初、僕らはかりんに友達がいないんじゃないかと不安にもなったが、そういう訳でもないらしい。
僕とは違い、かりんもコミュニケーション能力が備わっているので、きっと友達には困らないタイプなんだろうなぁ。

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