ライラック


4月7日。
僕の通う高校では始業式が行われていた。

「3年生は大学入試を目前にしているので、勉強にしっかりと励むように」
などとステージ上で熱く語る校長の頭にはいつまで経っても髪の毛が生えてこない。
今日は暖かく太陽も出ているので、本当に眩しくて仕方ない。
あぁ、これが校長の力なのか。


そんな集会も無事に終わり、
皆がダルそうに教室に戻る途中。

「なぁ柊真、聞いたかよ。
俺らのクラスに一人転校生が来るらしいぜ。」

後ろから方をポンポン叩きながら話しかけてくる楓。

「へぇ。こんな時期に。珍しいね。」

「やっぱさぁ、漫画みたいに編入試験とかあるのかね?」

「さぁ。知らない。」

僕は首を振りながら教室のドアを開け、やはり閉めることなく入っていく。

「だよなぁ。だからきっとあそこの席、さっきから空いてたんだろうな。」

と楓は一番左の列の一番前の席を指す。
確かに、あの席に誰か座る様子はない。

僕は曖昧に「へぇ」と適当な返事をして自分の席に座った。

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