ただ愛されたいだけなのに
—恋心はあっさりしてる—
給付金が入った。生活費を最低限に下げて、来月分のを合わせたら旅費ができる。飛行機のチケットと移動用のバスやタクシー、ホテル代に食事、その他もろもろのお金。
わたしは通帳を、そっとテーブルに置いた。その横に財布も置いて、夕食を取りにキッチンに立った。
クリスマス前のバカバカしいダイエットで毎日食べていたシーチキンはもうない。今やシーチキン恐怖症にまでなっている。代わりに、いちごジャムと食パンと、セロリとブロッコリーが常時されるようになった。セロリを選んで、タルタルソースをほんのちょっぴりつけてかじりながら、部屋をウロウロする。
わたしはさっきから、ちょっと前までのわたしじゃ考えられないことを、頭の中で自問自答していた。
一ヶ月経ってお金が入った今、ほとんどを旅費に費やしてまで正紀に会いたい?
二週間前までのわたしの正紀にたいする気持ちは、怒りと復讐心だけだった。寂しい気持ちはあいかわらず今もわたしから離れていかないけれど、寂しさを彼に埋めてほしいと思ってる? そもそも、この寂しさは、正紀がいないという理由じゃない。