ただ愛されたいだけなのに
10.
—出会いと別れ—
朝起きると、四通のメッセージが届いていた。
勇太:おはよ!
健一:俺の名前は健一です。名前教えてくれる?
勇太:めっちゃ寒いよぉ
健一、健一、健一……健康第一位って由来の名前だったとしても、あの容姿なら笑うどころか尊敬しちゃう。何かうまい返しは無いかと考えてるうちに、あっという間に登校時間がやってきた。今朝も朝食を摂り忘れた。ていうか、着替えてすらいない。わたしは家を出る五分前までベッドの中にいた。それから授業開始十分前には教室の自分の席に座った。我ながら優秀だわ。
返事はなんにしよう。『斎藤夢です。よろしくお願いします』なんか堅苦しい。『斎藤夢です。呼び捨てでいいですよ』とか? 名前だけ告げて送るのは、なんかつまらない。アドレスを聞いたことを後悔させたくないし……。あ、それとも『斎藤夢です。夢って呼んでね』って、わたしもタメ語を加えてみようかな。