ただ愛されたいだけなのに
今日はこの辺にしておこう。
目を閉じて眠ろうと試してみる……無理だ。どこからともなく不安が浮かびあがってきて、脳内を支配する。
正紀はどちらかと言うと年上で、綺麗なお姉様が好き。でもわたしは? わたしは綺麗なお姉様とは真逆。それに年下。髪は明るい茶色。正紀の好きな髪色は黒。
正紀は自分に自信がないって言って、俺なんかのどこが好きなのとよくたずねてくる。
でも正紀の方こそ、わたしのどこが好きなんだろう。かわいいってたくさん言ってくれるし、ワガママだけどそんなところが好きとも言ってくれる。でも理想の女からはかけ離れてる。いつかきっと飽きるか、理想の女を追いかけたくなる。だって、男ってそういうもんじゃない。草食系男子とかも、追いかけて手に入れて満足したいの。男の本能ってやつ。
正紀はもしかしたら、整形してモテるかも。だってあの人には、お金の使い道がないんだもん。
だからやっぱり正紀を飽きられないためには、理想の姿を追い求めて美容に貢がなきゃいけない。それしかない。