ただ愛されたいだけなのに
お昼の休憩になっても正紀からの返事はない。一時、二時、三時、四時と一時間に三回はスマホをチェックするけれど、なに一つ、音沙汰なし。とうとう上がりの時間がきた。わたしに届いたメッセージは百万円当たりましたとかいう詐欺サイトから、ただ一通。
乱暴にロッカーを開き、怒りに任せて制服を脱いだ。ブラジャーが半分ほどずり上がり、もう少しで乳首がはみ出しそうになった。けれどそんなこと、今のわたしにはどうだっていい——。
「おっとっとっと」
マネージャーの白田が、ノックも無しに控え室に入ってきた。わたしを見るなり回れ右をして、銃を突きつけられたかのように両手を挙げた。
「更衣室を作った方がいいかな」
「そのようですね。ノックをするのが常識だと思いますけど」
田端の野郎を真似て、ブラを正常な位置に戻した。
白田が笑っている間に着替えをすませて、バッグを持ってドアに向かう。
「帰るのか?」
「は?」
マヌケな質問に、思わず素で聞き返してしまった。おかしな白田は笑っている。
「あぁ、えっと……勤務時間はもう終わりなんですけど」
「そうか」白田は顎に手を当てて唇を覆った。「まかないを出そうか」
「……え? まかない?」
何を言い出すかと思えば……今度はわたしがマヌケになった。
「夕食代が浮くぞ」
「いえ、いいです……」
「まぁそう遠慮するな。さ、鞄をおろして」