ただ愛されたいだけなのに
実はその日以来、正紀とは一度も会っていない。それに、付き合うことになるなんてこれっぽっちも思ってなかった。
たまたまどちらとも家族旅行だったということで、お母さんと正紀のお母さんが話してる間に、成り行きで連絡先を交換することになった。正紀は二言三言しか喋らなかったけど、メールではスムーズに会話ができた。それからお互いに帰宅して、一ヶ月後、付き合うことになった。ちなみに正紀にとって、わたしは初めての彼女だ。彼は彼女いない歴=年齢の人。
毎月の記念日に、必ず長文メールを送ってくれる。最近は、二日に一回というペースでケンカしてるけど……。
翌朝、バイトに行きたくなさすぎて、半べそをかきながらベッドからおりた。
バイトの嫌なところは拘束されること。おばさんたちは嫌いだし、わたしは役立たずだし、なにより自由が欲しい。あーん、もうやだ、時間が迫ってきた。半べそのせいで鼻がすこし赤くなっている。
休憩に入り、正紀からのメッセージを確認した。