足立古書堂 謎目録
「あの……、どういうことだったんでしょう。まさか、あいつの自作自演だとか、言わないですよね?」

「彼の証言を信じる前提での、一つの推論がある」

「推論……どんなものですか」

「うん。あるんだけど。ね」

言葉を不自然に途切らせて、足立は左目を開いた。

「あるんだけれども。これが事実なら、あんまり公にはしない方がいいだろう、とね」

「な……なんですか?」

友人は恐る恐ると言ったふうに訊ね返す。

高木は半信半疑で、足立という女子を見ていた。
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