足立古書堂 謎目録
ロッカーの扉の内側には出っ張りがある。そこを掴んでいたのだろう、と言う。

「でもねえ、そんなの外側から開く方が開けやすいからねえ。薄く扉が開いちゃって。扉に近い方にいた、なんでも目は大きかったらしいから、マネージャーさんかな? 彼女の瞳に外からの光が反射した、と」

「いや、でも、それなら目だけじゃなくて、鼻とか口とか、ちゃんと顔もわかるんじゃないか?」

待ったをかけたのは高木だ。

「普通、ロッカーの中に人がいるなんて、思いもしないよ。光る目にだけ意識がいって、細部なんてちゃんと見てなかったんだろう。それに暗いしね、ロッカーは」

「…………」
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