足立古書堂 謎目録
さもありなん、な話である。

友人が語る彼は、幽霊に怯えていたようだったし、元々怖がりなのだろう。

「それで彼は叫んで飛び退った。部室で情事に耽ってたなんて知られるわけにはいかないから、好機とばかりに内側から扉を閉めた」

それがひとりでに閉まった扉の正体。

「部員たちは怯えて、部室を出ていった。これ幸いと彼らは着替えを済ませて、窓から脱出。マネージャーは帰宅、部長はみんなのところに戻った。あとは、話の通りさ」

「……じゃあやっぱり、あいつは正しかったんだ」

魂を抜かれたような声で友人が呟く。
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