足立古書堂 謎目録
わかったことはもう一つ、こいつは変人だ。

本に対する熱意が度を越している。

いやわかる、本が魅力的だとは高木も思う、けれど高木は本を見て高笑いをしたりはしない。

本を読みながら含み笑いをもらして机に突っ伏したりしないし、ふふふふと言いながらぴょんぴょん跳ねたりしない。

ドン引きして、遠巻きに眺めていると、彼女は唇を尖らせて言うのだ。

「いつもこうだとは思わないでね。素敵な本が手に入ったから、ちょっとテンションが上がっちゃっただけだよ」

ちょっと? ちょっとか?

そんな変人は今日もまた、誰かの相談を受けているみたいだ。
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