足立古書堂 謎目録
ただし、と足立は指先で手すりをなぞる。

「体操服や傘を盗むとか、ノートを破るとか、それは彼女じゃなく、さっきの彼の嫌がらせだ」

「嫌がらせ……」

「そう。彼、兎田くんのことが好きじゃないんでしょう。だから嫌がらせをした」

「……なんでわかった?」

「ノートを破るっていうのは、ストーカーらしからぬ行為だからね。ストーキングってのは愛情表現の延長みたいなものなの」

その点、体操服と傘は微妙なラインだったね、と足立は高木より数歩上を歩く。
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