この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 結婚前にどんな男と関係を持っていようが、結婚と同時に全て切ってくれれば良いのだ。
 やはり過去については少し気になるが、許容出来る。

 だが、嫁いで来る時にアリサに強く拒絶された。

 自分的には紳士的に振舞った筈である。ローデリヒ自身の落ち度はなかったと、今でも思っている。

 出会った時だけではない。

 ローデリヒが触れると嫌がる。本気で拒絶する。

 流石に夫婦の営みは避けては通れないと分かっていたらしく、初夜は無事に済ませたが、ローデリヒはすっかり臆病になってしまった。

 自らを拒絶する人間に対して、進んで接触するのは気が重い。そして、更に妻である彼女に嫌われるのは避けたかった。

 しかし、1ヶ月ぶりに妻の元に行けば、目の前で階段から転落された。流石に肝を冷やした。

 それだけではない。
 妊娠していた事も驚きだったが、頭を打ったせいか妻がーー豹変していた。
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