この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「待っているわ――アリサ」
少女がそう言い残すなり、周りの空間が歪に歪む。ぐにゃりと柔らかい粘土のように曲がった彼女の姿は、次第に小さくなって消えていった。
腕の中でアーベルくんがもぞもぞと居心地悪そうに動く。
「……硝子が危ないから大人しくしててね」
アーベルくんをあやしながら、私は無事だったベッドサイドの壺を引き寄せる。
もう無理限界。
薔薇系の残り香も駄目だった。
結局、めちゃくちゃ高そうな壺を思いっきり汚す羽目になってしまった……。
少女がそう言い残すなり、周りの空間が歪に歪む。ぐにゃりと柔らかい粘土のように曲がった彼女の姿は、次第に小さくなって消えていった。
腕の中でアーベルくんがもぞもぞと居心地悪そうに動く。
「……硝子が危ないから大人しくしててね」
アーベルくんをあやしながら、私は無事だったベッドサイドの壺を引き寄せる。
もう無理限界。
薔薇系の残り香も駄目だった。
結局、めちゃくちゃ高そうな壺を思いっきり汚す羽目になってしまった……。