この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「おじ様!」
「おじ様だ!」
王族と公爵家の関係は深い。今でこそ血は薄まってはいるが、元を辿れば同じ一族。
少女達にとって一国の主――という認識の前に、親戚のおじさんであり、ルーカスの父親だった。
国王は中年の小太りの男性と何やら話していたようだが、幼い子供らが寄ってくると無理矢理話を切り上げた。
ティーナ自身は彼らが何を話していたのか、よく知らない。
ただ、ほんの少しの違和感。いつまでも取れない胸のつっかえを感じたのだけは強烈に残っている。
話を打ち切られたせいか、やや不満そうな雰囲気が小太りの男性にはあった。国王に直接奏上出来るのは、子爵家以上の人間か、または高位の文官、武官のみ。
だから、その男性も世間では上の方の人間だったはずだ。それでなくとも、王城で何度か見た事があるような気がしたから、それなりの地位にはいただろう。
国王の元へとアリサと二人して、ティーナはパタパタと王城の廊下を駆ける。
だけれど、その男性とすれ違った時、アリサはふと立ち止まった。疑問に思ったティーナも立ち止まる。
「おじ様だ!」
王族と公爵家の関係は深い。今でこそ血は薄まってはいるが、元を辿れば同じ一族。
少女達にとって一国の主――という認識の前に、親戚のおじさんであり、ルーカスの父親だった。
国王は中年の小太りの男性と何やら話していたようだが、幼い子供らが寄ってくると無理矢理話を切り上げた。
ティーナ自身は彼らが何を話していたのか、よく知らない。
ただ、ほんの少しの違和感。いつまでも取れない胸のつっかえを感じたのだけは強烈に残っている。
話を打ち切られたせいか、やや不満そうな雰囲気が小太りの男性にはあった。国王に直接奏上出来るのは、子爵家以上の人間か、または高位の文官、武官のみ。
だから、その男性も世間では上の方の人間だったはずだ。それでなくとも、王城で何度か見た事があるような気がしたから、それなりの地位にはいただろう。
国王の元へとアリサと二人して、ティーナはパタパタと王城の廊下を駆ける。
だけれど、その男性とすれ違った時、アリサはふと立ち止まった。疑問に思ったティーナも立ち止まる。