この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
聞くところによると、怪我は全て治癒魔法ですぐ治療したらしく、よほどの重傷でない限り、あっという間に治ってしまうらしい。便利な世界だ……、と思ったけど、治癒魔法は怪我以外には効かないとも聞いた。
なるほど。だから私の記憶喪失誤解は、経過観察扱いになっちゃうのか……。
今はもう不思議な声は聞こえてこない。ローデリヒさんが〝応急処置〟として、臨時の結界が張れるペンダントをくれた。
現在、結界は私の周辺を覆うように展開されているそう。これが私の能力を抑えてくれるものだそうだ。
私は他の人に触れないし、他の人も私に触れないという縛りはあるけれど、これでひとまず平穏を取り戻せた。
ずっと同時に、色んな人から話し掛けられているような感覚だったからね。かなりうるさかった。
人混みの中にずっと放り出され続けてる感じ。
アーベルくんは、ローデリヒさんの腕に抱かれてご機嫌みたいだ。いつもより高い位置から見る風景が楽しくて仕方ないらしい。
ぷくぷくした手がローデリヒさんのワイシャツを握っている。
「普段は使ってないが、王太子妃の部屋はいつも綺麗にしている。この王城はかなりの人がいて、落ち着かないだろうが……しばらくは我慢して欲しい」
なるほど。だから私の記憶喪失誤解は、経過観察扱いになっちゃうのか……。
今はもう不思議な声は聞こえてこない。ローデリヒさんが〝応急処置〟として、臨時の結界が張れるペンダントをくれた。
現在、結界は私の周辺を覆うように展開されているそう。これが私の能力を抑えてくれるものだそうだ。
私は他の人に触れないし、他の人も私に触れないという縛りはあるけれど、これでひとまず平穏を取り戻せた。
ずっと同時に、色んな人から話し掛けられているような感覚だったからね。かなりうるさかった。
人混みの中にずっと放り出され続けてる感じ。
アーベルくんは、ローデリヒさんの腕に抱かれてご機嫌みたいだ。いつもより高い位置から見る風景が楽しくて仕方ないらしい。
ぷくぷくした手がローデリヒさんのワイシャツを握っている。
「普段は使ってないが、王太子妃の部屋はいつも綺麗にしている。この王城はかなりの人がいて、落ち着かないだろうが……しばらくは我慢して欲しい」