この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「……アリサが望むなら、離縁も受け入れる、と」
未だに衝撃から帰ってこないイーヴォは勿論、ヴァーレリーですら言葉を失った。原則的に王太子の離縁は認められていない。
国同士の結び付きを深める為に、政略結婚が多かった過去。長い歴史の中でも王太子や国王が離縁したという記録は、片手もないくらいの事例だ。基本的に政略結婚は個人の話ではない。
だから、離縁も国同士に何かあった場合でしかしていない筈だ。
「どうしてそこまで……」
「……殿下は、良いんですか?離縁って事になっても……」
愕然としたヴァーレリー。イーヴォはギュッと眉を寄せて、心配そうに自らの主を伺った。
「大丈夫だ。私から提案した事だからな。まだ確定していない事だから内密にしておくように」
うっすらと口元を上げ、平気だというようにローデリヒは微笑んだ。だが、部下達にはそれは誤魔化しにしか見えなかった。
「分かりました。ですが、その後については考えておられるのでしょうか?」
「いや、具体的な事についてはまだ詰めていない。彼女の意向を聞いてからだな。……まだ私も若いし、もし離縁となっても、慌てて再婚相手を見つけなくても大丈夫だろう」
未だに衝撃から帰ってこないイーヴォは勿論、ヴァーレリーですら言葉を失った。原則的に王太子の離縁は認められていない。
国同士の結び付きを深める為に、政略結婚が多かった過去。長い歴史の中でも王太子や国王が離縁したという記録は、片手もないくらいの事例だ。基本的に政略結婚は個人の話ではない。
だから、離縁も国同士に何かあった場合でしかしていない筈だ。
「どうしてそこまで……」
「……殿下は、良いんですか?離縁って事になっても……」
愕然としたヴァーレリー。イーヴォはギュッと眉を寄せて、心配そうに自らの主を伺った。
「大丈夫だ。私から提案した事だからな。まだ確定していない事だから内密にしておくように」
うっすらと口元を上げ、平気だというようにローデリヒは微笑んだ。だが、部下達にはそれは誤魔化しにしか見えなかった。
「分かりました。ですが、その後については考えておられるのでしょうか?」
「いや、具体的な事についてはまだ詰めていない。彼女の意向を聞いてからだな。……まだ私も若いし、もし離縁となっても、慌てて再婚相手を見つけなくても大丈夫だろう」