この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
ティーナも顔を引き締めて小さく頷く。そして扇を持っていない手で、指折り数え始めた。
「13人。13人の名前は全て覚えているわ。そして、その中でアリサに直接的に危害を加えてきた者は、この2年でほとんどわたくし達が排除してきたわ。あとは1人だけ」
時間が掛かってしまった。
だけれど、やっと本望を果たすことが出来る。目前にして失敗する訳にはいかない。
「ミスカ・サロライネン。反逆罪で処刑された元侯爵トピアス・サロライネンの嫡男にして、――一番最初にアリサの能力が使われた例」
どうしても捕えられなかった。元侯爵家故に、色々なコネクションがあったのだろう。未だに本人の姿を捕えられず、見つけられるのは末端のみ。
組織ぐるみで動いていることは確かなのだ。
しかし、詰めまでしっかりとこなさなければ、全てが水の泡。2年という時間を費やしてしまったが、これ以上引き伸ばし続ける訳にはいかない。
アリサの精神的な面を考えると、きっと遅すぎるくらいなのだ。
二人は信じ込んでいた。
アリサが自分達との再会を喜ばない筈がないという事を。
二人は夢にも思っていなかった。
アリサがルーカスとティーナと過ごした日々を、全く覚えていない事を。
「13人。13人の名前は全て覚えているわ。そして、その中でアリサに直接的に危害を加えてきた者は、この2年でほとんどわたくし達が排除してきたわ。あとは1人だけ」
時間が掛かってしまった。
だけれど、やっと本望を果たすことが出来る。目前にして失敗する訳にはいかない。
「ミスカ・サロライネン。反逆罪で処刑された元侯爵トピアス・サロライネンの嫡男にして、――一番最初にアリサの能力が使われた例」
どうしても捕えられなかった。元侯爵家故に、色々なコネクションがあったのだろう。未だに本人の姿を捕えられず、見つけられるのは末端のみ。
組織ぐるみで動いていることは確かなのだ。
しかし、詰めまでしっかりとこなさなければ、全てが水の泡。2年という時間を費やしてしまったが、これ以上引き伸ばし続ける訳にはいかない。
アリサの精神的な面を考えると、きっと遅すぎるくらいなのだ。
二人は信じ込んでいた。
アリサが自分達との再会を喜ばない筈がないという事を。
二人は夢にも思っていなかった。
アリサがルーカスとティーナと過ごした日々を、全く覚えていない事を。